事例 17
強迫症(確認や手洗いがやめられない)
不安をやわらげる
カウンセリング
戸締まりの確認を何度も繰り返す、手を洗わずにはいられない。こうした行動がやめられず日常生活に支障をきたす状態は「強迫症」と呼ばれます。本人も「やりすぎだ」と分かっていながら止められないため、強い不安やストレスにつながります。本ページでは、強迫症の特徴や相談事例を紹介し、カウンセリングでのサポートについて解説します。
強迫症とは
強迫症とは、「戸締まりやガスの確認」「手洗い」「決まった手順や順番へのこだわり」などを繰り返さずにはいられない状態を指します。頭では「やりすぎだ」と分かっていても、不安を解消するために行動を繰り返してしまうのが特徴です。
このため、仕事や家庭生活に支障をきたすこともあります。
「理由のない不安を感じる」ことが続くとき、強迫症が関係している可能性があります。
よくある強迫行動の例
こんなお悩みはありませんか?
- 戸締まりやガス栓を何度も確認する
- 手を洗わずにはいられない、長時間お風呂に入る
- 特定の順序で行動しないと最初からやり直してしまう
- 「不吉な数字」を避けたり、左右対称に強くこだわる
- 車の運転中に「人をひいたのでは」と戻って確認してしまう
- 不要な物でも「いつか使うかも」と思い捨てられない
これらの症状について、解消方法をインターネットで調べても思うように改善できず、悩み続けてしまう方は少なくありません。むしろ一人で抱え込むことで不安が強まり、心や体の不調につながってしまうこともあります。
背景にある原因とメンタル不調
強迫症の背景には、いくつかの要因が考えられます。
- ホルモンバランスの乱れ(婦人科系や甲状腺の影響など)
- 事件や事故など過去のトラウマ体験
- 幼少期の厳しいしつけや家庭環境
これらの要因が重なり、強いストレスや不安解消行動として「確認」「手洗い」「捨てられない」といった症状が表れることがあります。
カウンセリングでできること
カウンセリングでは、強迫的な行動が起きる背景や経過、理由などを一緒に整理します。必要に応じて医療機関と連携し、心理療法や生活改善を取り入れながら、不安やストレスへの対処を支援します。
強迫症は「性格の問題」ではなく、不安やストレスのあらわれであることが多いです。「確認や手洗いが止められない」「生活に支障が出ている」と感じたときは、一人で抱え込まずご相談ください。臨床経験20年以上のカウンセラーが、安心できる方法を一緒に探していきます。
よくある質問(Q&A)
強迫症は治りますか?
はい、改善するケースは多くあります。強迫症は「性格」や「意志の弱さ」ではなく、不安やストレスのあらわれであることが少なくありません。カウンセリングでは「不安に振り回されない工夫」を一緒に探しながら、少しずつ安心して過ごせるようサポートします。
一時的に確認や手洗いが増えるのも強迫症ですか?
誰でも疲れていたり不安が強いときに、確認や手洗いが増えることはあります。それだけで「強迫症」と決めつける必要はありません。ただ、それが長く続いて「やめたいのにやめられない」と感じるときは、相談を検討してよいサインです。
薬を飲まないとよくならないのでしょうか?
薬が役立つ場合もあれば、カウンセリングや生活習慣の工夫で改善する場合もあります。必要に応じて医療機関と連携しながら、その方に合った方法を一緒に見つけていきます。
どんなときに相談すればいいですか?
「やりすぎだと分かっていてもやめられない」「生活や仕事に支障が出ている」と感じたときは、相談のタイミングです。小さな段階で話していただくことで、不安が大きくなる前に和らげることができます。
参考:DSM-5-TRによる強迫症の診断基準
強迫観念,強迫行為,またはその両方の存在
強迫観念は以下の(1)と(2)によって定義される:
繰り返される持続的な思考,衝動,またはイメージで,それは障害中の一時期には侵入的で不適切なものとして体験されており,たいていの人においてそれは強い不安や苦痛の原因となる.
その人はその思考,衝動,またはイメージを無視したり抑え込もうとしたり,または何か他の思考や行動(例:強迫行為を行うなど)によって中和しようと試みる.
強迫行為は以下の(1)と(2)によって定義される:
繰り返しの行動(例:手を洗う,順番に並べる,確認する)または心の中の行為(例:祈る,数える,声を出さずに言葉を繰り返す)であり,その人は強迫観念に対応して,または厳密に適用しなくてはいけないある決まりに従ってそれらの行為を行うよう駆り立てられているように感じている.
その行動または心の中の行為は,不安または苦痛を避けるかまたは緩和すること,または何か恐ろしい出来事や状況を避けることを目的としている.しかしその行動または心の中の行為は,それによって中和したり予防したりしようとしていることとは現実的な意味ではつながりをもたず,または明らかに過剰である.
注:幼い児童はこれらの行動や心の中の行為の目的をはっきり述べることができないかもしれない.
強迫観念または強迫行為は時間を浪費させる(1日1時間以上かける),または臨床的に意味のある苦痛,または社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている.
その障害は,物質(例:乱用薬物,医薬品)または他の医学的状態の直接的な生理学的作用によるものではない.
その障害は他の精神疾患の症状ではうまく説明できない(例:全般不安症における過剰な心配,身体醜形症における容貌へのこだわり,ためこみ症における所有物を捨てたり手放したりすることの困難さ,抜毛症における抜毛,皮膚むしり症における皮膚むしり,常同運動症における常同症,摂食症における習慣的な食行動,物質関連症及び嗜癖症群における物質やギャンブルへの没頭,病気不安症における疾病をもつことへのこだわり,パラフィリア障害群における性的衝動や性的空想,秩序破壊的・衝動制御・素行症群における衝動,うつ病における罪悪感の反芻,統合失調スペクトラム症及び他の精神症群における思考吹入や妄想的なこだわり,自閉スペクトラム症における反復的な行動様式).
該当すれば特定せよ
病識が十分又は概ね十分:その人は強迫症の信念がまったく,またはおそらく正しくない,あるいは正しいかもしれないし,正しくないかもしれないと認識している.
病識が不十分:その人は強迫症の信念がおそらく正しいと思っている.
病識が欠如した・妄想的な信念を伴う:その人は強迫症の信念は正しいと完全に確信している.
該当すれば特定せよ
チック関連:その人はチック症の現在症ないし既往歴がある.
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, Fifth edition text revision, Washington, DC, 2022.(高橋三郎,大野裕 監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉,中尾智博 訳:DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル,東京,医学書院,2023).
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