事例 16人との間に壁や距離がある感じがする・
人といても一体感を感じられない(解離症)

人との間に距離を感じる、一体感を感じられない場合、アダルトチルドレンや共依存の可能性も考えられますが離人感が強くなると解離症の可能性も考えられます。

離人感というのは、ざっくり言うと「自分が自分ではないような感じ」「生きている実感がない感じ」です。

自分のことがどこか他人事のように思えたり、辛い・苦しいと感じていてもなんだか意識がぼんやりしたりしまいますが、その「実感のなさ」が他人とも距離や一体感が得られない状態につながっています。

本人の記憶にあるかどうかは別として、離人・解離的な傾向がある方は虐待や同レベルのトラウマがある可能性も高く、自分が壊れてしまわないように意識を飛ばして自分を守っている状態と言えます。

相談例

  • 自分のことを上から見下ろしてる感じがする
  • ストレスがかかる場面になると違う自分で対応することがある
  • 人との間に距離感や膜をへだてている感じがする
  • 現実感、生きている実感を感じられない
  • 人と切り離されている感じがする
  • とにかくさみしさやむなしさのようなものがある
  • 心にぽっかり穴があいている感じがする
  • 何かの膜やカプセルに包み込まれている感じがする
  • 生きるのがしんどい
  • 周りが楽しそうに生きれるのが不思議でしょうがない
  • みんなが一体となって盛り上がっているときに自分はさめてしまう
  • みんなが一体となって盛り上がっているとイライラするか近寄りたくない
  • 体育会系や熱血の人、やる気がある人がいると気持ちがひいてしまう
  • なんとなくぼんやりして生きている感じがする
  • 何をしたいのかわからない
  • 自分が何を好きなのかわからない
  • 付き合っている相手を好きかどうかわからないがなんとなく付き合ってしまう
  • 喜びや楽しいという感情が薄い、またはほぼない
  • パワー不足、エネルギー不足、ガス欠な感じでやる気がでない
  • 原因も特にないが死んでしまってもいいかなと思うことがある
  • 自分は解離症じゃないかと思ったことがある
  • 自分は解離性同一性障害(多重人格)じゃないかと思ったことがある
  • 自分は境界性パーソナリティ障害かもしれないと思ったことがある
  • 自分はアダルトチルドレンじゃないかと思ったことがある
  • 言葉や暴力による虐待を受けたことがある、または家族が受けているのを間近で見ていた
  • 性的虐待
  • 性的ないたずらを受けたことがある
  • 自分はPTSD(トラウマ)があった気がする
  • 自分は機能不全家族で育ったと思う
  • 家族内で感情的な交流が薄かった気がする
  • 親や兄弟に自分の気持ちを受けとめてもらった感覚がない
  • 父や母と話すと自分の気持ちを受けとめてくれる前に両親の考えを話されるのでうんざりする
  • 過食する傾向がある
  • 体型を気にして食べすぎると吐いてしまうことがある
  • リストカットなどの自傷行為をしたことがある
  • 家で暴れたことがある
  • 性的逸脱行為をしたことがある
  • 同時期に何人もの相手と恋愛、性交渉をしても特になんとも思わない
  • 好きな人や恋人がいても他の人とも恋愛や性交渉するのに抵抗がない
  • 援助交際・それに類する行為をしたことがある
  • 自分が自分じゃない感じにふるまうときがある
  • 自分の感情、行動をとめられないときがある
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DSM-5-TRによる解離性健忘の診断基準

  1. 重要な自伝的情報で,通常,心的外傷的またはストレスの強い性質をもつものの想起が不可能であり,通常の物忘れでは説明ができない.
    :解離性健忘のほとんどが,特定の1つまたは複数の出来事についての限局的または選択的健忘,または同一性および生活史についての全般性健忘である.
  2. その症状は,臨床的に意味のある苦痛,または社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている.
  3. その障害は,物質(例:アルコールまたは他の乱用薬物,医薬品),または神経学的病態または他の医学的病態(例:複雑部分発作,一過性全健忘,閉鎖性頭部外傷・外傷性脳損傷の後遺症,他の神経学的病態)の生理学的作用によるものではない.
  4. その障害は,解離性同一症,心的外傷後ストレス症,急性ストレス症,身体症状症,または認知症又は軽度認知障害によってうまく説明できない.
    コードするときの注:解離性とん走を伴わない解離性健忘のコードはF44.0.解離性とん走を伴う解離性健忘のコードはF44.1.
    • 該当すれば特定せよ

    • F44.1解離性とん走を伴う:目的をもった旅行や道に迷った放浪のように見え,同一性または他の重要な自伝的情報の健忘を伴うもの
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, Fifth edition text revision, Washington, DC, 2022.(高橋三郎,大野裕 監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉,中尾智博 訳:DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル,東京,医学書院,2023).

DSM-5-TRによる解離性同一症の診断基準

  1. 2つまたはそれ以上の,他とはっきりと区別されるパーソナリティ状態によって特徴づけられた同一性の破綻で,文化によっては憑依体験と記述されう(る.同一性の破綻とは,自己感覚や主体性感覚の明らかな不連続を意味し,感情,行動,意識,記憶,知覚,認知,および/または感覚運動機能の変容を伴う.これらの徴候や症状は他の人により観察される場合もあれば,本人から報告される場合もある.
  2. 日々の出来事,重要な個人的情報,および/または心的外傷的な出来事の想起についての空白の緑り返しであり,それらは通常の物忘れでは説明がつかない.
  3. その症状は,臨床的に意味のある苦痛,または社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている.
  4. その障害は,広く受け入れられた文化的または宗教的な慣習の正常な部分とはいえない.
    :児童の場合,その症状は想像上の遊び友達または他の空想的遊びとしてうまく説明されるものではない.
  5. その症状は物質(例:アルコール中毒時のブラックアウトまたは混乱した行動)や他の医学的状態(例:焦点減損発作)の生理学的作用によるものではない.
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 5th ed., Washington, DC, 2013 (高橋三郎,大野裕監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.東京,医学書院,2014).

DSM-5-TRによる離人感・現実感消失症の診断基準

  1. 離人感,現実感消失,またはその両方の持続的または反復的な体験が存在する.
    1. 離人感:自らの考え,感情,感覚,身体,または行為について,非現実,離隔.または外部の傍観者であると感じる体験(例:知覚の変化,時間感覚のゆがみ,非現実的なまたは存在しない自分.情動的および/または身体的な麻痺).
    2. 現実感消失:周囲に対して,非現実または離隔の体験(例:人または物が非現実的で,夢のような,霧がかかった,生命をもたない,または視覚的にゆがんでいる,と体験される)
  2. 離人感または現実感消失の体験の間,現実検討は正常に保たれている.
  3. その症状は,臨床的に意味のある苦痛,または社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている.
  4. その障害は,物質(例:乱用薬物,医薬品)または他の医学的状態(例:てんかん発作)の生理学的作用によるものではない.
  5. その障害は,統合失調症,パニック症,うつ病,急性ストレス症,心的外傷後ストレス症,または他の解離症のような,他の精神疾患ではうまく説明できない.
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, Fifth edition text revision, Washington, DC, 2022.(高橋三郎,大野裕 監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉,中尾智博 訳:DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル,東京,医学書院,2023).