よくある相談事項

事項 18

注意欠陥多動性障害(ADHD)

大人/子供ADHD(注意欠陥多動性障害)には①不注意、②多動性、③衝動性の特徴があります。その他にも④感覚異常、⑤二次障害・その他、⑥子供のADHDから大人のADHDへ移行するときの特徴などがあります。

①不注意

・用事を先送りにする

・忘れ物が多い

・空気が読めず人の話が聞けない

・期日を守れなかったり遅刻したりする

・ケアレスミスが多い

・家事全般が苦手

・事故にあいやすい

・片付けができない

・気が散りやすく集中できない

・計画を作ったり、遂行するのが苦手

・段取りが悪い

・単純作業や雑務が苦手

・途中で挫折する

②多動性

・気持ちがあちこちにいってしまい、場の雰囲気をよめず、人の話が聞けない。

・期日を守れなかったり遅刻したりする

・家事全般が苦手

・事故に巻き込まれやすい

・落ち着きがなくソワソワしている

・注意が持続できない

・大抵の物事を途中でやめてしまう

③衝動性

・衝動的な発言が多い

・自分の中にある衝動にとらわれてしまい、場の雰囲気に意識がいかず、人の話が聞けなかったり、失言してしまう。

・ケアレスミスが多い

・衝動買いが止まらない

・事故に遭遇しやすい

・些細な事で口論になりやすい

・衝動的に重大な判断をしてしまう

・思いつきで行動してしまう

・段取りがよくない

・単純作業や雑務が苦手

・最後までやり遂げられないことが多い

④感覚異常(自閉症スペクトラム障害・発達障害全般に当てはまるものもあります)

・聴覚過敏

例:大きな音や騒音、ザワザワとした環境に不快感を覚えます。小さな音でも違和感を覚える人もいます。

・視覚過敏

例:日光や照明などの光を眩しく感じます。

・嗅覚過敏

例:ちょっとした臭いでも不快に感じます。

・感覚過敏

例:体に触れられることに不快感を覚えます。

・疲労を感じない

例:疲れているのに疲れを感じなかったり、睡眠不足なのにそれを感じなかったりします。

⑤二次障害・その他(自閉症スペクトラム障害

・発達障害全般に当てはまるものもあります)

・依存症

例:アルコールやタバコなど、ある特定のものに依存して、生活が破綻しかねない状態です。男性はアルコール依存症に、女性は買い物依存症に陥る傾向にあります。焦燥感や絶望感で落ち着かず、それを紛らわすために依存してしまうと考えられます。

その他の依存症としては、インターネット依存、薬物依存、ギャンブル依存症、ニコチン依存症などがあります。

・摂食障害

例:イライラを押さえるために食べ過ぎたり、痩せたいと思っても食べることをやめられなかったり、過食と嘔吐を繰り返す状態。

・睡眠障害

例:夜になっても落ち着かず、寝なければいけない時間に活動してしまい、生活のリズムが乱れ、睡眠障害に陥る。

・うつ病の症状

例:うつ病になると、気分の落ち込みや興味の喪失、やる気の低下などが現れます。頭痛や不眠、吐き気、下痢や便秘などの身体症状も付随します。ほうっておくと自傷行為や引きこもりにつながることもあります。

・不安障害の症状

例:不安障害になると、一般的には感じない強い不安や恐怖を感じます。そのため、日常生活や仕事に支障をきたすようになります。状況が長引くと引きこもりにつながることもあります。

・疎外感

例:友人を作れず寂しさを感じる。人との交流は無理だと思い込むふしがある。

・劣等感

例:周りの人と自分を見比べて、自分の良くないところばかりみて、落ち込む。

・低い自己評価

例:自分をダメな人間だと思い込む。認知の歪み(考え方の偏り)や自暴自棄な態度につながる。

・抑うつ

例:無力感。何もする気が起きない。

上記のような感情から、自己否定的な考え方しかできなくなったり、周りの人の意見を耳を傾けなくなったり、何事もなげやりになったりします。

⑥子供のADHD⇒大人のADHD

☆年齢とともに起こる変化の特徴

・子供:落ち着きのなさなど多動性が目立つ。

⇒大人:年齢とともに多動性は弱まるが、忘れ物や集中力のなさといった不注意が目立つようになる。

☆年齢とともに起こる本人の自覚

・子供:家庭や学校に守られているので、本人に自覚がない場合も多い。

⇒大人:家族や周りからの指摘で否が応でも本人も自覚することが多い。

☆年齢とともに起こる自己評価の推移や二次障害

・子供:家庭や学校が守ってくれるので特にはない。

⇒大人:年齢とともに自己評価が極端に低くなることがある。その結果、うつ病、不安障害などの二次障害になることもある。

☆年齢とともに推移する周囲からの評価

・子供:子供だからと大目に見られる。励まされたり叱られることで一時的に治まるので、個性の範囲内とみてくれる。

⇒大人:忘れ物ばかり、片付けできない、仕事をやりとげられないでは、周りから非難の目で見られる。子供の頃は見過ごされていた症状が、会社勤めや結婚生活などで目立ってくる。

AD/HDの診断基準(DSM-IV-TR)

A) (1)か(2)のどちらか: (1) 以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月間持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないもの:

<不注意> (a) 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする。

(b) 課題または遊びの活動で注意を集中し続けることがしばしば困難である。

(c) 直接話しかけられたときにしばしば聞いていないように見える。

(d) しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動、または指示を理解できないためではなく)。

(e) 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。

(f) (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。

(g) 課題や活動に必要なもの(例:おもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、または道具)をしばしばなくしてしまう。

(h) しばしば外からの刺激によってすぐ気が散ってしまう。

(i) しばしば日々の活動を怠ける。

(2) 以下の多動性─衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月間持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない:

<多動性> (a) しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。

(b) しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。

(c) しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上ったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかもしれない)。

(d) しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。

(e) しばしば“じっとしていない”、またはまるで“エンジンで動かされるように”行動する。

(f) しばしばしゃべりすぎる。

<衝動性>

(g) しばしば質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう。

(h) しばしば順番を待つことが困難である。

(i) しばしば他人を妨害し、邪魔する(例:会話やゲームに干渉する)。

B) 多動性─衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳以前に存在し、障害を引き起こしている。

C) これらの症状による障害が2つ以上の状況〔例:学校(または職場)と家庭〕において存在する。

D) 社会的、学業的、または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない。

E) その症状は広汎性発達障害、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例:気分障害、不安障害、解離性障害、またはパーソナリティ障害)ではうまく説明されない。

American Psychiatric Association:Diagnostic and statistical manual of mental disorders 4th edition,Text Revision,2000 (高橋三郎、大野裕、染矢俊幸(訳):DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引,医学書院,2002)