事例 05PTSD(心的外傷後ストレス症)
(≒トラウマ)

PTSDは医学的には『死に直面するような恐怖』体験があったときに起ると言います。

「死に直面するような恐怖」と言われるとぴんと来ないかもしれませんが

ある場面で感情的になったり、恐怖がでてきたり、パニックになったり、嫌な出来事が頭のなかで何度も繰り返されたり、

罪悪感、絶望感に悩まされたり、特定の場面が異常に苦手だったり、とトラウマの症状に類似したもので悩まされている方が大勢いらっしゃいます。

ここではご本人のお悩み、そして原因が重い、軽い、大きい、小さいに関係なく、

心理療法を行うことでそういった感情の渦に巻き込まれ、悩まされていた時間が軽減する可能性があります。

本を読んで、インターネットで検索して、友人・知人に相談して、専門家にも相談したが改善が見られなかった方も選択肢のひとつとして一度お試しいただければと思います。

相談例

  • 医学的な診断基準はわからないが自分にはトラウマがあると思う
  • 過去の出来事(いじめ 、事故、暴力、死別、家族の喧嘩など)を何度も思い出してしまう
  • いつも同じような場面で同じ繰り返しがおきてしまう
  • 医学的な診断基準を満たしてないけど、人生がつらいと感じる
  • 恐怖感、緊張感、不快感、焦燥感、不安感など、頻繁にフラッシュバックが起こる
  • 人に追いかけられる、疎外される、危害を加えられる、いじめられるなどの悪夢で繰り返しみる
  • 記憶はないがわけもわからず、感覚的に不快な気分がやってくる
  • ニュースなどで見る事件をきっかけにパニックになってしまう
  • 電車などで知らない人に突然ものすごい恐怖心を感じる
  • 自分では記憶に無いが暴力を受けていたと聞かされた
  • 極端に苦手なものがある
  • もう少し詳しく説明しますと前提として、身体的もしくは精神的に大きなダメージとなるような事件・事故が発生した後、しばらく(約1ヶ月以上)経過してからも下記のような症状が継続的に発生している場合、PTSDである可能性があります。

  • フラッシュバック(再体験・追体験)
  • PTSDの原因となる出来事を思い出して動揺、興奮、恐怖、パニックを感じたり、感情的になったりする。

  • 過覚醒、過敏反応
  • PTSDの原因となった事件や事故のことが頭から離れず、精神的に不安な状態が続き、不眠や悪夢にうなされる。原因となった出来事を連想させるような音や光などの感覚刺激に過敏に反応してしまう。

  • 回避、感情の低下、記憶喪失
  • 原因である事件や事故に関することが思い出せない、それらに関する場所や行動を避ける。無気力になったり、未来への希望が持てなくなったりする。

DSM-5-TRによる心的外傷後ストレス症の診断基準

:以下の基準は成人,青年,6歳を超える児童について適用する.6歳かそれ以下の児童については後述の基準を参照すること.

  1. 実際にまたは危うく死ぬ,重傷を負う,性的暴力を受ける出来事への,以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の形による曝露:
    1. 心的外傷的出来事を直接体験する.
    2. 他人に起こった出来事を直に目撃する.
    3. 近親者または親しい友人に起こった心的外傷的出来事を耳にする.家族または友人が実際に死んだ出来事または危うく死にそうになった出来事の場合,それは暴力的なものまたは偶発的なものでなくてはならない.
    4. 心的外傷的出来事の強い不快感をいだく細部に,繰り返しまたは極端に曝露される体験をする(例:遺体を収集する緊急対応要員,児童虐待の詳細に繰り返し曝露される警官).
      :基準A4は,仕事に関連するものでない限り,電子媒体,テレビ,映像,または写真による曝露には適用されない.
  2. 心的外傷的出来事の後に始まる,その心的外傷的出来事に関連した,以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の侵入症状の存在:
    1. 心的外傷的出来事の反復的,不随意的,および侵入的で苦痛な記憶
      :6歳を超える児童の場合,心的外傷的出来事の主題または側面が表現された遊びを繰り返すことがある.
    2. 夢の内容と感情またはそのいずれかが心的外傷的出来事に関連している.反復的で苦痛な夢
      :児童の場合,内容のはっきりしない恐ろしい夢のことがある.
    3. 心的外傷的出来事が再び起こっているように感じる,またはそのように行動する解離反応(例:フラッシュバック)(このような反応は1つの連続体として生じ,非常に極端な場合は現実の状況への認識を完全に喪失するという形で現れる)
      :児童の場合,心的外傷に特異的な再演が遊びの中で起こることがある.
    4. 心的外傷的出来事の側面を象徴するまたはそれに類似する,内的または外的なきっかけに曝露された際の強烈なまたは遷延する心理的苦痛
    5. 心的外傷的出来事の側面を象徴するまたはそれに類似する,内的または外的なきっかけに対する顕著な生理学的反応
  3. 心的外傷的出来事に関連する刺激の持続的回避.心的外傷的出来事の後に始まり,以下のいずれか1つまたは両方で示される.
    1. 心的外傷的出来事についての,または密接に関連する苦痛な記憶,思考,または感情の回避,または回避しようとする努力
    2. 心的外傷的出来事についての,または密接に関連する苦痛な記憶,思考,または感情を呼び起こすことに結びつくもの(人,場所,会話,行動,物,状況)の回避,または回避しようとする努力
  4. 心的外傷的出来事に関連した認知と気分の陰性の変化.心的外傷的出来事の後に発現または悪化し,以下のいずれか2つ二つ(またはそれ以上)で示される.
    1. 心的外傷的出来事の重要な側面の想起不能(通常は解離性健忘によるものであり,頭部外傷やアルコール,または薬物など他の要因によるものではない)
    2. 自分自身や他者,世界に対する持続的で過剰に否定的な信念や予想(例:「私が悪い」,「誰も信用できない」,「世界は徹底的に危険だ」,「私の全神経系は永久に破壊された」)
    3. 自分自身や他者への非難につながる,心的外傷的出来事の原因や結果についての持続的でゆがんだ認識
    4. 持続的な陰性の感情状態(例:恐怖,戦慄,怒り,罪悪感、または恥)
    5. 重要な活動への関心または参加の著しい減退
    6. 他者から離隔している,または疎遠になっている感覚
    7. 陽性の情動を体験することが持続的にできないこと(例:幸福や満足,愛情を感じることができないこと)
  5. 心的外傷的出来事と関連した,覚醒度と反応性の著しい変化.心的外傷的出来事の後に発現または悪化し,以下のいずれか2つ(またはそれ以上)で示される.
    1. 人や物に対する言語的または身体的な攻撃性で通常示される,(ほとんど挑発なしでの)易刺激性と激しい怒り
    2. 無謀なまたは自己破壊的な行動
    3. 過度の警戒心
    4. 過剰な驚愕反応
    5. 集中困難
    6. 睡眠障害(例:入眠や睡眠維持の困難,または浅い眠り)
  6. 障害(基準B,C,DおよびE)の持続が1カ月以上
  7. その障害は,臨床的に意味のある苦痛,または社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている.
  8. その障害は,物質(例:医薬品またはアルコール)または他の医学的状態の生理学的作用によるものではない.
  9. いずれかを特定せよ

    • 解離症状を伴う:症状が心的外傷後ストレス症の基準を満たし,加えてストレス因への反応として,次のいずれかの症状を持続的または反復的に体験する.
      1. 離人感:自分の精神機能や身体から遊離し,あたかも外部の傍観者であるかのように感じる持続的または反復的な体験(例:夢の中にいるような感じ,自己または身体の非現実感や時間が進むのが遅い感覚)
      2. 現実感消失:周囲の非現実感の持続的または反復的な体験(例:まわりの世界が非現実的で,夢のようで,離れている,またはゆがんでいるように体験される)
      3. :この下位分類を用いるには,解離症状が物質(例:アルコール中毒中の意識喪失,行動)または他の医学的状態(例:焦点意識減損発作)の生理学的作用によるものであってはならない.

    該当すれば特定せよ

    • 遅延顕症型:その出来事から少なくとも6カ月間(いくつかの症状の発症や発現が即時であったとしても)診断基準を完全には満たしていない場合
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, Fifth edition text revision, Washington, DC, 2022.(高橋三郎,大野裕 監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉,中尾智博 訳:DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル,東京,医学書院,2023).

DSM-5-TRによる6歳かそれ以下の児童の心的外傷後ストレス症の診断基準

  1. 6歳以下の児童における,実際にまたは危うく死ぬ,重傷を負う.性的暴力を受ける出来事への、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の形による曝露:
    1. 心的外傷的出来事を直接体験する.
    2. 他人,特に主な養育者に起こった出来事を直に目撃する.
    3. 親または養育者に起こった心的外傷的出来事を耳にする.
  2. 心的外傷的出来事の後に始まる,その心的外傷的出来事に関連した,以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の侵入症状の存在:
    1. 心的外傷的出来事の反復的,不随意的,および侵入的で苦痛な記憶
      :自動的で侵入的な記憶は必ずしも苦痛として現れるわけではなく,再演する遊びとして表現されることがある.
    2. 夢の内容と感情またはそのいずれかが心的外傷的出来事に関連している.反復的で苦痛な夢
      :恐ろしい内容が心的外傷的出来事に関連していることを確認できないことがある.
    3. 心的外傷的出来事が再び起こっているように感じる,またはそのように行動する解離反応(例:フラッシュバック)(このような反応は1つの連続体として生じ,非常に極端な場合は現実の状況への認識を完全に喪失するという形で現れる).このような心的外傷に特異的な再演が遊びの中で起こることがある.
    4. 心的外傷的出来事の側面を象徴するまたはそれに類似する,内的または外的なきっかけに曝露された際の強烈なまたは遷延する心理的苦痛
    5. 心的外傷的出来事を想起させるものへの顕著な生理学的反応
  3. 心的外傷的出来事に関連する刺激の持続的回避,または心的外傷的出来事に関連した認知と気分の陰性の変化で示される,以下の症状のいずれか1つ(またはそれ以上)が存在する必要があり,それは心的外傷的出来事の後に発現または悪化している.

      刺激の持続的回避

    1. 心的外傷的出来事の記憶を喚起する行為,場所,身体的に思い出させるものの回避,または回避しようとする努力
    2. 心的外傷的出来事の記憶を喚起する人や会話,対人関係の回避、または回避しようとする努力
    3. 認知の陰性変化

    4. 陰性の情動状態(例:恐怖,罪悪感、悲しみ,恥,混乱)の大幅な増加
    5. 遊びの抑制を含め、重要な活動への関心または参加の著しい減退
    6. 社会的な閉じこもり行動
    7. 陽性の情動を表出することの持続的減少
  4. 心的外傷的出来事と関連した覚醒度と反応性の著しい変化,心的外傷的出来事の後に発現または悪化しており,以下のうち2つ(またはそれ以上)によって示される.
    1. 人や物に対する(極端なかんしゃくを含む)言語的または身体的な攻撃性で通常示される,(ほとんど挑発なしでの)易刺激性と激しい怒り
    2. 過度の警戒心
    3. 過剰な驚愕反応
    4. 集中困難
    5. 睡眠障害(例:入眠や睡眠維持の困難,または浅い眠り)
  5. 障害の持続が1カ月以上
  6. その障害は,臨床的に意味のある苦痛,または両親や同胞、仲間、他の養育者との関係や学校活動における機能の障害を引き起こしている.
  7. その障害は,物質(例:医薬品またはアルコール)または他の医学的状態の生理学的作用によるものではない.

    いずれかを特定せよ

  • 解離症状を伴う:症状が心的外傷後ストレス症の基準を満たし,次のいずれかの症状を持続的または反復的に体験する.
    1. 離人感:自分の精神機能や身体から遊離し、あたかも外部の傍観者であるかのように感じる持続的または反復的な体験(例:夢の中にいるような感じ,自己または身体の非現実感や,時間が進むのが遅い感覚)
    2. 現実感消失:周囲の非現実感の持続的または反復的な体験(例:まわりの世界が非現実的で,夢のようで,離れている,またはゆがんでいるように体験される)
      :この下位分類を用いるには、解離症状が物質(例:意識喪失)または他の医学的状態(例:焦点意識減損発作)の生理学的作用によるものであってはならない.
  • 該当すれば特定せよ

  • 遅延顕症型:その出来事から少なくとも6カ月間(いくつかの症状の発症や発現が即時であったとしても)診断基準を完全には満たしていない場合
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, Fifth edition text revision, Washington, DC, 2022.(高橋三郎,大野裕 監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉,中尾智博 訳:DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル,東京,医学書院,2023).
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