事例 15
適応反応症(適応障害)とは
職場や学校でのストレスと カウンセリング事例

環境の変化や強いストレスにより、心身に不調をきたすことがあります。会社や学校に行こうとすると涙が出る、動悸が止まらないといった症状は「適応反応症(適応障害)」と呼ばれます。本ページでは、その特徴や具体的な相談事例を紹介し、カウンセリングでのサポート方法について解説します。

よくある適応反応症に関する相談

こんなお悩みはありませんか?

  • ストレスの原因を考えると憂鬱になる
  • 職場のことを思い出すと不安や緊張が強まる
  • 家庭や社会生活がうまくいかなくなる
  • 休日は症状が軽くなるが、平日になると再発する
  • 「職場の人間関係やストレスの対処法を知りたい」と感じる

適応反応症は、学校や仕事のつらさに起因することが多いため、ご相談内容もストレスの対処法や自己理解に関することが多い傾向にあります。

適応反応症とは

適応反応症とは、特定の環境や出来事に対して強いストレスを感じ、適応しにくい状態を指します。例えば「会社に行くと涙が出る」「出勤前に動悸がする」「過敏になり不安が強くなる」といった症状が典型的です。

特徴として、ストレスの対象から離れていると症状が軽くなることがあります。そのため「休日は元気なのに仕事になるとつらい」といったギャップが見られるのも特徴です。

職場や学校でのストレスが引き起こす症状

適応反応症は、仕事のストレスや職場の人間関係、家族の問題、学校生活、恋愛の悩みなど、身近な出来事をきっかけに発症します。

よく見られる症状には以下のようなものがあります。

  • 強い不安や焦り
  • 涙もろくなる
  • 意欲の低下や集中力の低下
  • 動悸やめまい、頭痛など身体症状
  • 朝起きられない、登校や出勤がつらい
  • 職場や学校で突然泣きたくなる

「眠れない」「理由のない不安を感じる」といったメンタル不調が続く場合も多く、日常生活に影響を及ぼします。

こうしたお悩みもお気軽にご相談ください。

カウンセリングでできること

カウンセリングでは、まず現在のつらさや適応反応症に至った経緯などをお伺いします。お話をするだけでも「心が軽くなる」「ストレス解消になった」と感じられる方も多いですが、ご希望に合わせて今後の生き方を一緒に考えたり、ストレスに対する対応や捉え方を変えるための認知行動療法なども取り入れることが可能です。

職場や学校、家庭でのストレスは、気づかないうちに心身を追い詰めてしまいます。「不安で毎日がつらい」「ストレスから解放されたい」と感じる方は、どうぞお気軽にご相談ください。公認心理師が、一緒に生きやすさを取り戻すお手伝いをいたします。

よくある質問(Q&A)

適応反応症はうつ病と違うのですか?

はい、異なります。うつ病は長期的に気分の落ち込みが続きやすいのに対し、適応反応症は特定の出来事や環境がきっかけになっているのが特徴です。例えば「仕事の日は涙が出るけれど、休日は少し元気になる」といった状態が見られることがあります。

適応反応症は治りますか?

改善は可能です。カウンセリングでは「症状をなくすこと」だけでなく、「不安やストレスとうまく付き合えるようになること」を目指します。小さな工夫や安心できる習慣を取り入れることで、日常生活を少しずつ取り戻していけます。また、休職された方が復職するか転職するか迷っている場合は、そのご相談も承ります。

会社や学校を休むべきでしょうか?

気持ちや体が辛いときは、休むことも選択肢に入れて考えましょう。カウンセリングで気持ちの整理を行いつつ、物理的にもつらい環境から離れられれば回復が早まる可能性もあります。ただし、会社を休職したい場合は診断書が必要となりますので、精神科・心療内科の受診を検討されてください。

適応反応症は甘えではないですか?

いいえ、決して甘えではありません。環境の変化や強いストレスに反応して心身に不調が出るのは、誰にでも起こりうる自然なことです。「弱いから」ではなく「それだけ頑張ってきた証」と考えていただいて大丈夫です。

どんなときに相談すればいいですか?

困っていることや悩んでいることが少しでもあれば、いつでもお待ちしております。カウンセリングは苦しんでいる人のための特別な場所ではなく、どんな小さなことでも気軽にお話いただける場所です。

参考:DSM-5-TRによる適応反応症の診断基準

  1. はっきりと確認できるストレス因に反応して,そのストレス因の始まりから3カ月以内に情動面または行動面の症状が出現

  2. これらの症状や行動は臨床的に意味のあるもので,それは以下のうち1つまたは両方の証拠がある.

    1. 症状の重症度や表現型に影響を与えうる外的文脈や文化的要因を考慮に入れても,そのストレス因に不釣り合いな程度や強度をもつ著しい苦痛

    2. 社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の重大な障害

  3. そのストレス関連症は他の精神疾患の基準を満たしていないし,すでに存在している精神疾患の単なる悪化でもない.

  4. その症状は正常の死別反応を示すものではなく,遷延性悲嘆症ではうまく説明されない.

  5. そのストレス因,またはその結果がひとたび終結すると,症状がその後さらに6カ月以上持続することはない.

いずれかを特定せよ

  • F43.21抑うつ気分を伴う:優勢にみられるものが,落ち込み,涙もろさ,または絶望感である場合

  • F43.22不安を伴う:優勢にみられるものが,神経質,心配,過敏,または分離不安である場合

  • F43.23不安と抑うつ気分の混合を伴う:優勢にみられるものが,抑うつと不安の組み合わせである場合

  • F43.24素行の障害を伴う:優勢にみられるものが,素行の異常である場合

  • F43.25情動と素行の障害の混合を伴う:優勢にみられるものが,情動的症状(例:抑うつ,不安)と素行の異常の両方である場合

  • F43.20特定不能:適応反応症のどの特定の病型にも分類できない不適応的な反応である場合

該当すれば特定せよ

  • 急性:この特定用語は,症状の持続が6カ月未満の場合に使用することができる.

  • 持続性(慢性):この特定用語は,症状が6カ月以上持続する場合に使用することができる.定義によると,ストレス因またはその結果の終結から,6カ月を超えて症状が持続することはない.したがって,持続性の特定用語は,慢性的なストレス因または永続的な結果をもたらすストレス因に対する障害の持続期間が6カ月を超える場合に適用される.

American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, Fifth edition text revision, Washington, DC, 2022.(高橋三郎,大野裕 監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉,中尾智博 訳:DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル,東京,医学書院,2023).

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