事例 10仕事やバイト、学校に行くと
すぐ嫌になって辞めてしまう、
行く気が起きない

このお悩みはご本人がいらっしゃる場合もあれば、親御さんがご本人を連れていらっしゃる場合もあります。

そのうちなんとかなる・・・」と思っているうちに時間だけが過ぎてご本人や親御さんが焦って相談にいらっしゃいます。

ほぼ他の人と変わらない生活を送れているはずなのに、なぜか仕事やバイト、学校だけが続かない時は一度ご相談ください。

過去のトラウマや不安感、対人関係や集団で異常にストレスがかかる、身体の慢性的な不調や疲れやすさなどが関連している場合があります。

この場合はお話をお聞きしながら原因を探し、心理療法や現実場面での対処を一緒に考えていくことができます。

また『現実検討力』が低下している場合だと、精神的な疾患(うつ病、統合失調症、パーソナリティー障害など)が隠れていることもあります。」

この場合カウンセリングルームでは診断は出来ませんので、必要に応じて病院を紹介させていただくこともあります。

保護者様は、「うちの子は普通だと思うんだけど、ある部分(例えば仕事に関わること)だけ話しが通じなくなる」。

と感じることがありましたら、なるべくお早めにご相談ください。

相談例

  • うちの子はまじめで問題もなさそうなんだけど、なぜかバイトや仕事、学校に行かない
  • 学校や仕事、バイトにすぐ行かなくなって、すぐやめてしまう
  • 集団が苦手
  • いじめにあったことがある
  • 不登校をしたことがある
  • 家で暴れていたことがある
  • 親がなんでも受け入れてくれる家庭で育った
  • 気に入った友達、気に入った知人としか付き合わない
  • 友達がほぼいない
  • 職場や学校であまりしゃべれなくなる
  • 職場や学校で挙動不審になってしまう
  • 職場や学校で意欲がでなくなってしまう
  • いろんなことがどうでもよくなってしまう
  • まじめそうでやさしく、喧嘩をしたことがない
  • 気に入らないことはさけ、ネットやゲーム等、趣味には没頭する
  • 勉強がそこそこできるか勉強がほぼできない
  • 人の汚い部分や腹黒い部分が見えると嫌になってしまう
  • 怒られること、嫌われることにとても敏感
  • 将来のことを考えるのをさけたがる、もしくはその話題をふられると怒る
  • 自分またはお子さんを回避性人格障害や回避性愛着障害ではないかと疑ったことがある
  • 自分またはお子さんを発達障害ではないかと疑ったことがある
  • 正直言うと親として子供のことをどこか理解できない
  • 正直に言えば、子供のことがそれほど好きではない
  • 親も周りから変わっていると言われたり、感じたりしていた
  • 親族に発達障害、精神障害の人がいる、もしくは診断はされていないが、あの人はそうじゃないかな、と思う人がいる
  • 親子で会話がかみあってない、もしくはかみあってないことに気づいていない
  • 子供から「そういうことしてほしいんじゃないんだよね、わかってないよね」と言われたことがある
  • うちの子は大した問題はないんだけどと思いたいが、実際には何か重大な問題があるかもしれないと心のどこかで不安に思っている
  • 時間が解決してくれると思いたいが、なかなか子供が前に進まないのが実は不安
  • 仕事やバイト、学校に行かない子供にどんな言葉をかけていいか、どう接していいかわからない
  • このまま親がずっと扶養し続けなければならないの?と不安
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DSM-5による自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害の診断基準

  1. 複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥があり、現時点または病歴によって、以下により明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない本文参照).
    1. 相互の対人的情緒的関係の欠落で、例えば,対人的に異常な近づき方や通常の会話のやりとりのできないことといったものから、興味,情動または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ.
    2. 対人的相互反応で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、まとまりのわるい言語的、非言語的コミュニケーションからアイコンタクトと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ
    3. 人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、さまざまな社会的状況に合った行動に調整することの困難さから,想像上の遊びを他者と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ.

    現在の重症度を特定せよ

    重症度は社会的コミュニケーションの障害や、限定された反復的な行動様式に基づく(表2参照).

  2. 行動,興味,または活動の限定された反復的な様式で,現在または病歴によって,以下の少なくとも2つにより明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない;本文参照).
    1. 常同的または反復的な身体の運動、物の使用、または会話(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同運動,反響言語,独特な言い回し).
    2. 同一性への固執、習慣への頑ななこだわり、または言語的,非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛,移行することの困難さ、柔軟性に欠ける思考様式、儀式のようなあいさつの習慣、毎日同じ道順をたどったり、同じ食物を食べたりすることへの要求)
    3. 強度または対象において異常なほど,きわめて限定され執着する興味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭,過度に限局したまたは固執した興味)
    4. 感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ,または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える,特定の音または触感に逆の反応をする,対象を過度に嗅いだり触れたりする,光または動きを見ることに熱中する)

    現在の重症度を特定せよ

    重症度は社会的コミュニケーションの障害や,限定された反復的な行動様式に基づく(表2参照).

  3. 症状は発達早期に存在していなければならない(しかし社会的要求が能力の限界を超えるまでは症状は完全に明らかにならないかもしれないし、その後の生活で学んだ対応の仕方によって隠されている場合もある).
  4. その症状は,社会的,職業的,または他の重要な領域における現在の機能に臨床的に意味のある障害を引き起こしている
  5. これらの障害は、知的能力障害(知的発達症)または全般的発達遅延ではうまく説明されない知的能力障害と自閉スペクトラム症はしばしば同時に起こり、自閉スペクトラム症と知的能力障害の併存の診断を下すためには,社会的コミュニケーションが全般的な発達の水準から期待されるものより下回っていなければならない.
    注:DSM-IVで自閉性障害,アスペルガー障害,または特定不能の広汎性発達障害の診断が十分確定しているものには,自閉スペクトラム症の診断が下される.社会的コミュニケーションの著しい欠陥を認めるが、それ以外は自閉スペクトラム症の診断基準を満たさないものは、社会的(語用論的)コミュニケーション症として評価されるべきである。

    該当すれば特定せよ

    • 知能の障害を伴う,または伴わない
    • 言語の障害を伴う,または伴わない
    • 関連する既知の医学的または遺伝学的疾患,または環境要因(コードするときの
      注:関連する医学的または遺伝学的疾患を特定するための追加のコードを用いること)
    • 関連する他の神経発達症,精神疾患,または行動障害(コードするときの注:関連する神経発達症,精神疾患,または行動障害を特定するための追加のコードを用いること)
    • 緊張病を伴う(定義については、他の精神疾患に関連する緊張病の診断基準を参照せよ118頁)〔コードするときの
      注:緊張病の併存を示すため、自閉スペクトラム症に関連する緊張病293.89(F06.1)の追加のコードを用いること〕
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 5th ed., Washington, DC, 2013 (高橋三郎,大野裕監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.東京,医学書院,2014).

学習障害のDSM-5による診断基準

学習障害とは、基本的に、全般的な知的発達に遅れはありませんが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力の習得と使用に著しい困難や様々な障害を指すものです。

主として学齢期に顕在化しますが、学齢期を過ぎるまで明らかにならないこともあります。その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されていますが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではありません。(平成11年7月の「学習障害児に対する指導について(報告)」より改編)

ここでの遅れとは、学年に応じた1~2学年以上の遅れであり、小学校2,3年では1学年以上の遅れ、小4年以上又は中学生では2学年以上の遅れを指します。

分類として字を読む障害である読字障害、計算や数の概念障害の算数障害、字を書く障害である書表出障害を基本とし、ひらがな、カタカナ、漢字が入る日本文化に独特の特殊型も少数ながら存在しています。読字障害があれば表出の障害も程度の差はあれ合併します。わが国でも最近では「発達性読み書き障害:ディスレクシア」という呼び方もしばしば用いられるようになりました。

以下に示す診断基準がわかりにくいこともあって、ディスレクシアのスクリーニングには以下の方法も有用です。

  • 音を構成する障害があることが多いので、たとえば「かえる」を逆から言わせてみる。こうした逆唱がしばしば苦手です。しかし日常の会話には支 障はありません。
  • 本を数行読ませて見ます。文節で切れなかったり、途中で別の行に目移りしたり することがよくあります。横書きよりは縦書きで見られることが 多いようです。
  • 複雑な文字、たとえば「龍」を書き写すと、横棒の本数が違ったり、左右が逆になったりすることがあります。

こうした症状があれば、一度受診してみることもお勧めです。

American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 5th ed., Washington, DC, 2013 (高橋三郎,大野裕監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.東京,医学書院,2014).

読書障害ののDSM-5による診断基準

  1. 読みの正確さと理解力についての個別施行による標準化検査で測定された読みの到達度が、その人の生活年齢、測定された知能、年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。
  2. 基準Aの障害が読字能力を必要とする学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
  3. 感覚器の欠陥が存在する場合、読みの困難は通常それに伴うものより過剰である。
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 5th ed., Washington, DC, 2013 (高橋三郎,大野裕監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.東京,医学書院,2014).

算数障害ののDSM-5による診断基準

  1. 個別施行による標準化検査で測定された算数の能力が、その人の生活年測定された知能、年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。
  2. 基準Aの障害が算数能力を必要とする学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
  3. 感覚器の欠陥が存在する場合、算数能力の困難は通常それに伴うものより過剰である。
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 5th ed., Washington, DC, 2013 (高橋三郎,大野裕監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.東京,医学書院,2014).

書字表出障害のDSM-5による診断基準

  1. 個別施行による標準化検査(あるいは書字能力の機能的評価)で測定された書字能力が,その人の生活年齢,測定された知能,年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。
  2. 基準Aの障害が文章を書くことを必要とする学業成績や日常の活動(例:文法的に正しい文や構成された短い記事を書くこと)を著名に妨害している。
  3. 感覚器の欠陥が存在する場合、書字能力の困難が通常それに伴うものより過剰である。
American Psychiatric Association: Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 5th ed., Washington, DC, 2013 (高橋三郎,大野裕監訳,染矢俊幸,神庭重信,尾崎紀夫,三村將,村井俊哉訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.東京,医学書院,2014).